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インタビュー
(報道ニッポン1月号より)

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【対談内容】
三ツ木: まずは先生が司法書士を目指されたきっかけから伺えますか?
織 田: 私は高校の頃から法律関係の仕事に就きたいという思いを持っていました。そして雑誌で司法書士という資格があることを知り、大学を卒業後、ある司法書士事務所に就職。そこで実務を勉強し、32歳の時に資格を取得しました。
三ツ木: 司法書士というのは国家資格ですし、取得するには大変なご苦労があったのでは。
織 田: 試験の合格だけを目標とするのではなく、司法書士になった暁にはこういう活動がしたい、と具体的なビジョンを持って、プラス志向で勉強に励みました。そうすれば自然とやる気も出てきますからね。
また実務を通して学ぶことも多くありました。本を読んでいるだけでは理解できないような事柄もたくさんありますからね。私にとっての20代は「人生勉強」の期間だったと言えます。その経験がなければ今の私はなかったでしょうね。
三ツ木: 開業されたのはおいくつの時でしょうか?
織 田: 32歳で資格を取得して、その翌年に開業しました。独立してからは責任の大きさに意識ががらりと変わりましたね。それまで事務的にこなしていた事柄に関してもじっくりと考えるようになりました。今では、依頼者の意図するところは何か、そしてどういう結果を望んでいるかを常に考えながら業務を行っています。
三ツ木: 初歩的な質問で申し訳ないのですが、司法書士のお仕事というのは具体的にはどのような業務なのでしょうか?
織 田: まず不動産関係の業務があります。売買や抵当権の設定の申請などですね。それから会社設立等、商業登記関係。また最近では、高齢者の財産管理も新しい分野として入ってきています。高齢になれば誰でも判断力が鈍ってきますから、財産の管理を司法書士に一任されるケースがあるのです。
それ以外では、弁護士さんの扱えない小さな事柄、例えば「貸した10万円を返さない」とか、そういった簡易裁判所で取り扱われるような事例も含まれます。
三ツ木: 財産に関することというのは依頼者のプライバシーに関わることですよね。しっかりとした信頼関係がないことには、お仕事が成り立たないと思いますが、そういった関係を築き上げるのは容易なことではないでしょうね。
織 田: 童話にある北風と太陽ではありませんが、こちらが資格を振りかざして高飛車になることだけは絶対にしてはいけません、依頼人の立場に立つことが何よりも大切だと思います。後は仕事ぶりを見てもらって、判断していただく。扱う事柄が財産なだけに、それに伴って人生相談を受ける場合もありますから、そういう時に肝心なのは、その人の心の痛みを理解することだと思います。
三ツ木: このお仕事は法律に関する事務手続きだけでなく、依頼人の気持ちを理解する「人間性」がとても重要ということですね。
織 田: その通りです。この資格をマネーライセンスだと考えている人もいるかもしれませんが、私はそれではいけないと思います。例えば、自己破産の手続などの仕事も件数は結構あるのですが、そういう方たちはお金が払えないから司法書士事務所に来られるわけですよね。それを報酬を貰えないからと断ってしまうのは、職業人としてはどうでしょうか?報酬などは後回しにして、その方の期待に応えることこそが大切でしょう。
一般の方たちにとっては弁護士、税理士ならわかるけど、司法書士というのはどういう仕事をしているのか分からない、というのが普通だと思います。ひょっとしたら、2,3名で暗い事務所にこもって何かをしている、というイメージかもしれません。ですから、業界のためにもっとこの職業を世間にアピールしていく必要があるだろうと考えています。
三ツ木: そういえば、こちらは非常に明るい雰囲気の事務所ですね。らしくない、というのは失礼かもしれませんが。
織 田: 財産の話などもありますから、外に声が洩れないような区切られたスペースを望む方もいらっしゃるかもしれません。しかし、スタッフ全員が一丸となって仕事をするという思いを込めて、このように区切りのないオープンなつくりにしたのです。
三ツ木: 先生の仕事に対する姿勢を表したつくりということですね。スタッフの方は何名ですか?
織 田: 10名です。そのうちの4名が有資格者です。開業して12年ほどなのですが、これまで独立したスタッフが7名います。ここで学んだことを活かして頑張ってくれているのは、本当に嬉しいことです。
三ツ木: ある意味ではライバルを育てていらっしゃるわけですね(笑)。先生はこのお仕事を天職だと思っていらっしゃるのでしょうね。
織 田: もちろん思っています。何よりも人に喜んでもらえることが、やりがいを感じるところですね。
三ツ木: これからの展開はどのようにお考えでしょうか?
織 田: これまでもそうですが、人を育てたいと思っています。報酬だけでなく真に依頼者のためになることを考える、そんな優れた人材をね。また、私自身ももっと業界に貢献できるように頑張っていきたい。年々この資格の合格者は年齢層が若くなってきていて、そういった方たちにも業界自体に貢献するという意識を持ってもらいたいですね。
三ツ木: これからも頑張ってください。本日はありがとうございました。
  (1999年10月取材)
対談を終えて・・・・・・・・・インタビュアー三ツ木清隆の感想
「対談中、織田先生が何度も繰り返されていた言葉。それは『依頼者の痛みを理解すること』でした。単に法律のスペシャリストというだけではなく町の相談所として、これからもがんばってください。」

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