これまでのお話で、カードの使い方や契約をする際には充分な注意が必要だということがおわかりいただけたでしょうか。
カードによるキャッシングやいわゆるサラ金からの借金がふくらみ、返すことができなくなってしまうケースが急増しています。
お金を借りるきっかけは、失業や事故、家族の病気やケガなどの思わぬ出費やギャンブル、遊ぶお金等、じつにさまざまですが、ここで共通していることは、金融知識の乏しさです。突然の出費をカバーするために、メチャクチャな利息を支払わなくてはならない貸金業者(サラ金)を利用してしまうことが、一番の問題なのです。簡単な手続きで誰にも会わずに借りられて、ゲーム感覚で機械を操作すればお金が出てくるとなると借金しているという感覚がなくなってしまうものなのかもしれません。お金を返すために、また借りてと、この繰り返しによる借金が、収入金額を超えるほど増えるとお金を返すことはできなくなり、やがて破産してしまいます。
このような状態になる前に、専門家に相談することが望ましいのですが、万一お金を返すことが難しくなってしまっても、取るべき方法はあります。
まず業者と話し合いをして、自分の収入の範囲内で長い期間の分割払い等で返していく「任意整理」の方法をとるのが一般的です。これができない場合には、裁判所に破産申し立てをして、国が関与する「法的整理」を行うことになります。すべての借金を清算して、もう一度やり直しができるようにするための自己破産というこの制度は、借金を抱えて苦しんでいる人たちの最後の手段なのです。
では、自己破産すると、どうなるのでしょうか。
債権者は、支払いの請求ができなくなりますから、お金を返せという圧力から解放されることになります(ただし、保証人への請求は続きます)。その一方で信用情報機関のブラックリストに登録されてしまうので、一定期間(7年くらい)は、金融機関からお金を借りることができなくなりますし、会社の取締役や司法書士などの特定の法律職にはなれないといった資格制限もあります。
いずれにしても、申し立てができるケースなのかどうか確かめることや、申し立て時に必要な書類等の作成、破産宣告前の借金を帳消しにする免責の申し立てなどもする必要がありますから司法書士等の適切なアドバイスを受けられることをお勧めします。
ちなみに、司法書士に自己破産手続きを頼んだ場合にかかる費用は、ケースにもよりますが、約10〜20万円前後と考えていただければよろしいでしょう(その他に、裁判所に納める予納金等が必要となります)。免責の決定権が確定してはじめて、すべてが終了することになります。油断していると、再び取りたてに追われる生活に戻ってしまうこともありますから注意が必要です。
※免責…お金を返す責任が法律的になくなること |
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